第10条第10条 昇進の次第
諸家の昇進の順序はな、それぞれの家の昔からの慣わしを守って朝廷に申し上げなあかんのや。
せやけど、学問によう通じて歌道にも励んで、そのほかにも朝廷へのお勤めの功労を積んだ人がおったら、家の順番を飛び越えてでも推薦や昇進をしてもらえるんやで。
吉備真備、下道真備はな、従八位下ゆう低い身分やったんやけど、才知の誉れが高かったさかいに、右大臣にまで取り立てられたんや。これはほんまにお手本にすべき話やな。
苦労して学問に励んだその功績は、決して見捨てたらあかんのやで。
ワンポイント解説
家格でがんじがらめのこの法度の中で、この十条だけはちょっと毛色が違うんよ。公家の昇進はふつう家の格式で決まってしまうもんやけど、学問や歌道でものすごい功績を積んだ人には、その順番を飛び越える道をちゃんと用意したあるんやな。
例えばな、Tさんゆう公家の子がおったとして、家の格式だけ見たら出世できる位はそこそこの高さで頭打ちになってしまうとするやろ。せやけどTさんが歌道の稽古に打ち込んで、朝廷の儀式でも評判をとって、長年真面目にお勤めを果たしたとしたら、その努力は家の決まりとは別の物差しで評価されて、本来の順番を追い越して引き立ててもらえる可能性が出てくるんや。
この条文がわざわざ吉備真備の話を持ち出してきたんも面白いところやな。従八位下ゆうたら、当時の官位のなかでもかなり低いほうやのに、そこから右大臣まで昇りつめたんやから、これはもう千年近く前からある「努力は家柄を超える」ゆう伝説やねん。江戸時代の法度がわざわざ千年近く昔の実例を引っ張り出してくるあたり、家格を大事にしつつも、真面目に励む者への道を完全には閉ざしたないゆう、朝廷側の気持ちがにじみ出とるんとちゃうかな。知らんけど。
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