第1条 和を以て貴しと為す
第1条 和を大切にしなはれ
一に曰く。和を以て貴しと為す。忤ふこと無きを宗と為す。人皆黨有り。亦達せる者少なし。これを以て或いは君父に順はず。乍ち隣里に違ふ。然れども上和ぎ下睦びて、事を論ずるに諧へば、則ち事理自ら通ず。何事か成らざらん。
第一条はな、「和を以て貴しとなす」っちゅうことやねん。これはな、みんなで仲良うすることが一番大切やで、っちゅう意味やな。逆らうたり、けんかしたりするんやのうて、お互いを大事にしよう、っちゅうことや。
人間ってな、みんなそれぞれ自分のグループがあって、なかなか相手の気持ちがわからんもんやろ。せやから時には、親や上司の言うことが気に入らんかったり、近所の人と意見が合わへんこともあるやろうな。
せやけどな、上に立つ人が穏やかで思いやりがあって、下の人たちもお互いを大切にして、みんなで話し合うて物事を決めたら、自然と道理にかなうもんができるんやで。そうやったら、どんな難しいことでも、きっとうまくいくもんや。
第一条は十七条憲法の根幹をなす条文である。聖徳太子は「和」を最も重要な価値として位置づけ、これを実現するための具体的な方法論も示している。
「和」とは単なる仲良しではなく、異なる立場や意見を持つ人々が互いを尊重し、対話を通じて共通の理解に至ることを意味する。太子は「上和下睦、諧於論事」(上が和らぎ下が睦んで、事を論ずるに諧う)として、階層を超えた対話の重要性を強調している。
現代の民主主義や合意形成の手法にも通じる先進的な思想であり、日本人の協調性の源流とも言える。単に対立を避けるのではなく、積極的な対話による問題解決を目指している点が注目される。
今から約1400年も前、西暦604年に聖徳太子(厩戸皇子)が作らはった日本で一番最初の憲法なんやで。わたしが説明するから、ちゃんと聞いてな。太子さんがこれを作らはった時代っちゅうのはな、ほんまに大変な時代やったんや。
当時の日本はな、まだ統一された国家っちゅうよりは、豪族たちが各地で勝手に権力を振るってる状態やってん。特にな、蘇我氏と物部氏っちゅう二つの大きな豪族が、激しい争いをしてたんや。表向きは、蘇我氏は仏教を受け入れようっちゅう立場で、物部氏は神道を守ろうっちゅう立場やったんやけど、実際には朝廷の中で主導権を握ろうとする権力闘争の側面が強かったとされるんや。仏教の受け入れ問題は、そういう権力争いの口実の一つやった可能性もあるんやで。この対立はな、587年に物部守屋が討たれるまで続いてん。太子さんは、こういう豪族同士の争いで国が混乱してるのを見て、「このままやったらあかん。みんなが仲良う協力せなあかん」って強く思わはったんやな。
例えばな、当時は朝廷で会議をしても、みんなが自分の一族の利益ばっかり考えて、国全体のことを考える人がほとんどおらへんかったんや。豪族たちは自分の領地を守ることに必死で、隣の豪族とはいつも対立してた。そんな状態やったら、隋っちゅう強大な国が攻めてきたら、ひとたまりもないやろ。実際、太子さんは607年に小野妹子を遣隋使として送って、隋の皇帝である煬帝に会わせてるんやけど、この時に「日本は統一された国家やで」ってアピールせなあかんかったんや。そのためには、国内でバラバラに争ってる場合やなかったわけやな。
太子さんはな、この第一条で「和を以て貴しとなす」って言うてはるけど、これはただの「仲良しごっこ」のことやないねん。原文をよう読んでみ。「上和下睦、論事諧」って書いてあるやろ。これは「上の人が穏やかで、下の人が仲良くして、みんなで話し合って決めたら、自然と正しい答えが出てくる」っちゅう意味なんや。つまり、身分や立場が違う人たちが、お互いを尊重して、ちゃんと対話をすることが大事やっちゅうことやねん。
この考え方はな、当時としてはめちゃくちゃ進歩的やったと思うで。だって、太子さんの時代は、身分制度がガチガチの社会やったんやで。上の人が言うたことは絶対で、下の人は黙って従うのが当たり前やった。せやけど太子さんは、「上の人も下の人も、みんなで話し合おうや」って言うてはる。これって、今の民主主義の「みんなで話し合って決める」っちゅう考え方に通じるやろ。1400年前に、もうこんな考え方をしてはったなんて、ほんまにすごいことやと思わへん?
「和」っちゅう考え方はな、今でも日本人の心の奥底にあるもんやと思うんや。会社でも学校でも、チームワークを大切にしたり、話し合いで物事を決めたりするやろ。一人だけが突っ走るんやなくて、みんなで意見を出し合って、協力して進めていく。これって、まさにこの第一条の精神が生きてるからやと思うんやでな。
太子さんは、ただ「仲良うしなさい」って言うてるんやのうて、「お互いの立場を理解して、みんなで話し合おうな」って教えてくれてるんや。対立を避けるんやなくて、対立があっても話し合いで解決しようっちゅう、積極的な姿勢を求めてはるんやな。これは、現代の民主主義や合意形成の考え方にも通じる、とても進んだ思想やと思うで。うちは、この第一条が十七条憲法の中でも一番大事な条文やと思ってるんやけど、知らんけど。
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