第11条第11条 乗輿の制限
身分の低い者が、勝手気ままに輿に乗ったらあかんことやで。
昔から、その人柄によっては許可のう輿に乗ってもええ家もあれば、許可を得てから乗る家もあったんや。せやけど近頃は、家来や雑兵に至るまで輿に乗るようになってしもうた。これはほんまに度を越えた話やで。これから先は、国持大名以下、一門の歴々は許可のう乗ってええこととする。それ以外の側近衆や医者・陰陽師、それに六十歳以上の人、病人なんかは、許可を得てから乗るべきなんや。家来が勝手に乗るのを許してしもたら、その主人の落ち度になるんやで。ただし公家や門跡、それに諸々出世した衆は、この制限には当たらんのやで。
ワンポイント解説
輿に乗るか歩くかで身分が分かる、いうのも今の感覚やとちょっと想像しにくい話かもしれへんね。せやけどこの条文がようできとるのは、ただ「輿に乗るな」て禁止しとるだけやのうて、体力のない年配の人や病人にはちゃんと道を開けとるところなんよ。
例えばな、まだ若うて体力もある家来の太郎さんが、主人の許可も取らんとええ気になって輿に乗って移動しとったら、それは身分不相応な振る舞いやと見なされて、下手したら主人のUさんまで叱られてしまうんよ。でも同じ家中でも、六十歳を超えたVさんや、病気で足腰が弱っとるWさんやったら、話は別なんや。ちゃんと許可を得たうえで輿に乗ることが認められとるんよ。
この条文は「身分」と「事情」を両方見ながら線を引いとるところが、わたしはなかなか丁寧やなと思うわ。若さと体力がある者にまで輿を許してしもたら見せびらかしになってしまうけど、年老いた人や病人にまで歩けと強いるんは酷な話やろ。家来が勝手をした時の責任を主人に負わせとる点も含めて、統治する側の目配りが感じられる条文やねん。
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